宮沢賢治の世界
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宮沢賢治の世界:作品の魅力を読み解く



日本人なら宮沢賢治を読んだことのない人はいないだろう。小学校の教科書も中学校の教科書も必ず宮沢賢治の詩や童話を載せているし、それがきっかけで賢治が好きになる人が多い。しかも賢治が好きでその作品を読んでいる人は、子どもから老人まで広範な世代にわたっている。まさに国民作家といってよい。

宮沢賢治の詩や童話は美しくしかもわかりやすい。言葉がきれいでわかりやすく、豊かなイメージに満ちているので、読んでいて心を洗われるような気持ちになる。偉大な文学というものが、人々の感性を磨き想像力を駆り立てるものであるとしたら、賢治はその条件を満たす数少ない日本の作家のひとりだ。

宮沢賢治の詩と童話は、分かりやすいあまりに単純かというと、そうではない。宮沢賢治には独特の宗教感情があって、それが深いところで賢治の文学を支えている。その実体はかならずしも分かりやすいものではない。とりあえずは宇宙的な生命観とでもいうべきものか。賢治はその生命観を、宗教的な感情から汲み取ったようである。賢治が、自分より先立って死んだ妹とともに、法華経を深く信じていたことはよく知られている。「春と修羅」には、妹の詩をいたむ詩がいくつもおさめられているが、それらの詩は、妹を法華経信仰の道連れとして描いている。

そうした信仰が、自分の生命を宇宙全体との関連のもとに考える姿勢を養ったものといえる。賢治の童話は、人間が宇宙の一部であるということを、子供にもわかりやすく説いたものにほかならない。

とはいえ賢治は、宗教のもつある種の切迫感といったものとは無縁である。切迫ではなく、鷹揚としたゆとりが賢治の文学にはある。そうした鷹揚さは、賢治生来のものだったようである。その鷹揚さを失わずして、なお、自分が宇宙の一部だという自覚を以て、宇宙全体の融和のようなものをめざしたというのが、宮沢賢治の文学的営為のありようだったのではないか。

ここではそんな宮沢賢治という作家の、詩や童話の作品を取り上げ、彼の創作の秘密とその魅力の源泉について読み解いてみたい。


春と修羅:宮沢賢治の詩的宇宙

春と修羅序の詩

宮沢賢治と修羅の悩み:春と修羅

屈折率:宮沢賢治の詩を読む

真空溶媒  春と修羅(宮沢賢治の幻想)

小岩井農場(宮沢賢治の心象スケッチ):春と修羅

原体剣舞連(はらたいけんばひれん):宮沢賢治の詩を読む

永訣の朝:宮沢賢治「春と修羅」

松の針:宮沢賢治「春と修羅」

無声慟哭:宮沢賢治「春と修羅」

青森挽歌:宮沢賢治「春と修羅」

宗谷挽歌:宮沢賢治「春と修羅」補遺

鈴谷平原:宮沢賢治の詩を読む

風の偏倚:宮沢賢治を読む

どろの木の下から『春と修羅』第二集 六九

有明:宮沢賢治「春と修羅」第二集

東の雲ははやくも蜜のいろに燃え:宮沢賢治「春と修羅」第二集

北上山地の春:宮沢賢治「春と修羅」第二集

薤露青:宮沢賢治の詩を読む

北いっぱいの星ぞらに:宮沢賢治を読む


宮沢賢治の童話を読む

ドリームランドとしてのイーハトーブ:宮沢賢治の童話的世界

注文の多い料理店:宮沢賢治の童話を読む

どんぐりと山猫:宮沢賢治の童話を読む

鹿踊りのはじまり:宮澤賢治の童話を読む

おきなぐさ:宮沢賢治の童話を読む

やまなし:宮沢賢治の童話を読む

セロ弾きのゴーシュ:宮沢賢治の童話を読む

オツベルと象:宮沢賢治の童話を読む

猫の事務所:宮沢賢治の童話を読む

フランドン農学校の豚:宮沢賢治の童話を読む

よだかの星:宮沢賢治の童話を読む

ポラーノの広場:宮沢賢治のユートピア

風の又三郎:宮沢賢治を読む

銀河鉄道の夜:宮沢賢治を読む

北十字とプリオシン海岸:銀河鉄道の夜

鳥を捕る人:銀河鉄道の夜

リンゴとジョヴァンニの切符と空の孔:銀河鉄道の夜

さそりの火:銀河鉄道の夜

グスコーブドリの伝記:宮沢賢治の世界

雨ニモマケズ:宮澤賢治の自戒の言葉


宮沢賢治と石原莞爾

宮沢賢治と法華経


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